#10 第5話 二人の世界(1)

今日は、祖父ロナルドと祖母アンジェラの50回目の結婚記念日だ。ルーシーたちは心をこめたパーティーを催していた。母キャロルが腕をふるったご馳走が並んでいる。
食事制限を受けているサミーだけは別メニューだったので、部屋の隅でチョッピリすねている。
父スティーブンの乾杯でパーティーは始まり、ロナルドとアンジェラの思い出話しに花が咲いた。
『あちこち旅行に行ったね・・・』
『・・・思い出すワ。ローマで過ごしたあの夏の日・・・』
――“ローバの休日か?” サミーは鼻をほじりながら、口の中で小さくささやいた。

『・・・初めて会ったのがパリ、数年後にモロッコの酒場で再会したの。ロナルドったら、私の瞳に向かって乾杯したのヨ。』
――“そっ、そんな所まで行ったんかいっ!!”
『あなたはカメラマンで、古い橋の写真を撮っていた・・・』
――“じいさんはカメラ音痴のはずじゃ・・・”
『待ち合わせの場所はいつもティファニーの前だったワ・・・』
『君はクロワッサンをかじりながら立っていたね。』
――“どこのオードーリだ?”