1994年に医療保険制度が改定され、患者さんへのビタミン剤の投薬について保険適用が制限されるようになりました。
それは、日本政府が、ビタミンを「薬ではなく、食事から摂りましょう」という方針転換をしたことを意味しています。
患者さんの中には、ビタミンを食事から摂るのが難しい方もいらっしゃいます。
「ジュースでもスープでもいい。患者さんのための総合ビタミンサプリメントがあったら…」。
ある病院の先生から、このようなご相談を受け、私たちはビタミンを配合した製品の開発に乗り出したのです。
医療の現場から大きな課題を得たのですが、開発は予想以上に難しいものでした。ビタミンには独特のにおいがあり、当時はこのにおいをマスキングする(包みこんで隠す)技術がなかったからです。
まずスープタイプを検討。ですが、お湯で溶くとビタミン臭がさらに強くなり、とても飲めるようなものではありませんでした。ではジュースタイプはどうかというと、こちらも当初は“おいしい”にはほど遠いものでした。
大手の製菓会社さんにも協力してもらいながら、何度も試作を繰り返した末、ようやく、ヨーグルトなどを加えることでビタミン臭をマスキングすることが可能になりました。
こうして誕生したのが、初代のブイ・クレスです。
ブイ・クレス歴代のパッケージ
業界初の試みにも挑戦
ブイ・クレスには「味」だけでなく、どんな方にとっても十分な「栄養成分量」と「ベストなバランス」を追求しました。患者さんの具体的な要望に応えるために、私たちが栄養学的にできるサポートを考えた結果、初代のブイ・クレスに“亜鉛”をプラスすることに思い至ったのです。しかし、ブイ・クレスに亜鉛をそのまま添加するにはさまざまなハードルがあり、時間がかかりました。
そこで思いついたのが、亜鉛をたくさん含んだ食材をブイ・クレスに加えるというものでした。早速、あちこち探して回った結果、たどりついた食材がジャイアントケルプという大きな昆布です。その昆布に酵母をまぶして亜鉛を濃縮するのですが、この酵母のにおいにもまた悩まされて…。
数々の酵母の中から適したものに出合うまでに、かなりの手間と時間がかかりました。その甲斐あって、業界初の亜鉛配合の微量栄養素補助飲料としてブイ・クレスαが完成したのです。
その後のブイ・クレスは、新たにコラーゲンペプチド配合のCP10(シーピーテン)や、乳酸菌配合のBIO(ビオ)など、新たなラインナップを追加。そして今も、新たなステージへと進もうとしています。
ブイ・クレスの誕生から14年が経った2008年のこと。「毎日飲むものだから、他の味もあったら良いのに…」。
そんなお客様の声から、ブイ・クレスの新たな挑戦「新しい味の開発」が始まりました。
開発にあたり、重視したポイントは3つ。
一つめは、栄養素(ビタミン・ミネラルの配合)と美味しさを両立すること。
二つめは、既にある「ブイ・クレス」と個性がかぶらないこと。
三つめは、他のサプリメントにはない「味」を生み出すこと。
しかし、この3つの課題をクリアすることは
容易でなく、さまざまな味のアイデアが
生まれては消えていきました。そして
最終候補として絞られた味は「ピーチ」と
「ラ・フランス(西洋梨)」だったのです。
「ピーチ」については賛成意見で一致。
一方、少しツウ好みのイメージもある
「ラ・フランス(西洋梨)」は、
「味を想像しにくいのでは?」
などの意見も上りました。
しかし、個性的な「ラ・フランス」を外したくないという想いも強く、まずは試作してみることになったのです。
結果、試作品は好評。当時、キャロット、ベリー、ピーチ、ラ・フランスと4種類の中でも、
ラ・フランスが「いちばん好きな味!」という社員も多く出たほどでした。さらに、新製品が発売される
予定時期は10月頃。「ラ・フランス」の旬というチャンスも重なり、ついに正式発売となりました。