誰かから誰かへ、手渡されて広がる。

ブイ・クレスの輪ものがたり

大切な人を想う気持ちが手渡されて、広がっていく。
ブイ・クレスの輪を描いたショートストーリー。

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第11回

今日がいちばん若い日

 松下さんにブイ・クレスの良さを教えてくれたのは長男のお嫁さんだった。松下さんは美容室を経営している。仕事柄、忙しくて昼を食べ損ねることも多いのだが、そんなときには、数分でもいいからブイ・クレスを飲みながらひと息入れるようにしている。「ビタミン・ミネラル注入!」と思うと気持ちもシャキッとするのだ。
 息子ふたりを美容師としての腕一本、女手ひとつで育て上げてきた松下さん。二十年前に開いたこのサロンも、今ではスタッフを抱え、多くのお得意様がいる。独立するときは、子どもたちはまだ小さくて不安しかなかったけれど、彼らには余計な苦労をさせたくない、好きなことをさせてやりたい、その気持ちだけでこれまでがむしゃらに働いてきたのだ。
 六十の声を聞いてからは、職業病ともいえる腰痛が出たり、疲れが翌日まで残ったり、毎日が絶好調とはいえない。少しチーフに任せて仕事の量を減らそうか、と考えたりもする。でもすぐに、私じゃなきゃダメなお客様がたくさんいるし、と思い直す。「結局、私はこの仕事が好きなのよね、もうちょっと頑張ろう。『これからの人生で、今日がいちばん若い日』、そう言ったのは誰だっけ。そのとおりだわ」と松下さんは思う。
 「そうそう、骨折で入院したあの方のお見舞いに、ブイ・クレス持って行こう。七十を超えてもいつも若々しい方だもの。早く良くなってまた来ていただかなくちゃね」。